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オオカミとメカ

もっとも凶暴なオオカミ
 くり抜いた樹木の中のような空間、これが新型兵器の操縦室だった。

「おい、博士ババア。これでいいのか?」


 両手は操縦用のグリップを握らされ、脚は肉でできたような質感の衝撃緩和装置に固定されている。

『……ええ。大丈夫よ、フローベルガー少尉。でも、ババアとは聞き捨てならないわね』


――私が搭乗したのは新型ゴーレム、アーティフィシャルメイジ。アイアンクロスうちの顧問錬金術師のババアが造った、文字通りの新兵器だ。

「ッケ、こっちは嫌がる少佐が気の毒だから嫌々乗ってるのよ。そうじゃなかったらこんな【ピィィィーッ!(自主規制)】みたいな操縦室に誰が入るもんか」

『……なっ!?』


 
ババアの奴
が動揺している内に、発進準備を進める。
 実をいうと、このアーティフィシャルメイジは私より先に少佐をテストパイロットにして性能テストが始まっていた。

「あんたは確かにすごい博士だ。だけど私はあんたの部下じゃない。ベアトリクス少佐の部下だ」


 だけどその少佐が「こんなもの、信頼できない」と日増しに性能テストを嫌がるようになっていた。

『いい気にならないでちょうだい! 私だって好きであんたなんかに代役を頼んだわけじゃないのよ!』

「うるせえ! お前こそ勘違いするな! 私に指図していいのは大隊長ベアトリクス少佐だけだ!」


――とはいえ、少佐の嫌がる様子と困り果てた博士の様子を見て、私みたいな一兵卒が機嫌取りをしないわけにはいかないだろう。
 操縦系の感触は不愉快極まりないが、代わりにやってやる。

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作者コメント及びお詫び

作中にて視点人物のシルヴィア・フローベルガーが【ピィィィーッ!(自主規制)】みたいな操縦室」という過激な暴言を吐きましたが、彼女のキャラクターを表すのに必要な表現であるためやむを得ずこのような形で掲載しました。
不愉快に感じられた方がおられたらお詫び申し上げます。
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