設定を選択してください。

スペース・スカウト~僕は宇宙の偵察兵~

第3話 東京強襲!
「繰り返す、後藤隊は東京の都庁を占拠せよ!」
「了解!」

 後藤隊長がより上位の指揮官から指示を受けていた。

 軌道エレベーター占拠の報はあっと言う間に世界を駆け巡った。

 しかし……世界は日本を見放した。

 東京都民たちは家に籠って出てこない。

 まるでゴーストタウンと化したかのような街中を、木村隊は戦車で進んでいた。

 戦車の後ろには兵員輸送車が続いており、その中に蓮とオリバーも居た。

「なあ、蓮、すげぇぜ! 空が青い!」
「ああ、オリバー。地球ってこんなに豊かなんだな! 俺、火星軍に参加して本当に良かったよ!」

 火星から来た兵たちは、狭い窓から珍しそうに空を見ていた。

 火星もテラフォーミングされてから青い空になったが、ここまで青い空ではない。

「おい、お前ら、気を抜くなよ。そろそろ目的地だ」

 後藤隊は目的地の東京都庁まで難なくたどり着いた。

「目的はマザーコンピュータールームの占拠だ! お前たち行くぞ!」
「おおっ!」
「オリバーまた先頭を行けっ!」
「了解っ!」

 都庁は健気にも警察が防備を固めていたが、いくら火星軍に対して発砲してもバリアで防がれてしまう。

 それを見た警察たちは逃げ出してしまった。

 オリバーを先頭にした後藤隊は、都庁の中を進む。

 職員たちはすでにどこかへ逃げ去っていた。

「こちら、後藤隊。都庁を無血占領!」

 その他、国会議事堂や各地の自衛隊基地など、主だった施設が占領されていく。

 ほとんど抵抗らしい抵抗は無かった。

「後藤隊、テレビをつけろ。これは命令だ」
「了解」

 主にスカウトのチームからなる後藤隊は、都庁のテレビをつけた。

 すると……

「現在、日本と火星の間で和平交渉が行われており、間もなく合意が得られそうです……」

「後藤隊長、戦争が終わるんですか?」

 蓮が後藤隊長に質問する。

「ああ、このニュースが本当ならな……」



 結局、火星軍は東日本全域を奪取。

 ここで日本側が折れ、東京の新宿駅あたりを境に西を日本が、東を火星が統治すると言う条件で一時和平が結ばれた。

 これは後年、宇宙歴になって出来たベルリンの壁のような物として、東京の壁と呼ばれる。

 実際にはただフェンスが張られただけであったが、とにかく『壁』と呼ばれていた。

次の話を表示


トップページに戻る この作品ページに戻る


このお話にはまだ感想がありません。

感想を書くためにはログインが必要です。


感想を読む

Share on Twitter X(Twitter)で共有する