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黄金の魔女フィーア (旧版)

突入
 休憩を終えて再び屋敷へと向かう。
 屋敷の中に入ってから休んでもよかったかもしれないが、もし中に魔物がいればそれどころではなくなる。確実性を求めるなら間違った判断ではない。
 目の前にあるのは二階建ての屋敷。窓の数でわかる。壁はレンガ造りで、木造建築が主流のこの村ではそれだけでも高級感がある。
 不思議なことに外観はほとんど損傷していない。まるで意図的に狙われなかったかのように。
 村に入ってすぐ通った住宅街では、建物はほぼ完全に破壊されていた。それなのになぜ、ここだけは無事なのだろうか。

「やけに状態がいいわね」
「さあな。もしかしたらキレイなのは外観だけで、中はガレキの山かもしれんぞ?」

 そうだとしても、損傷がないのは気になる。
 まあ中に何があったとしても、みんなで協力して乗り切ればいいだけかしら。余計な心配をさせて全体の士気が落ちるのも良くないし。

「とにかくここまで来たんだ。中に入って調査を始めるぞ」

 私よりも年下なのに、本当にしっかりした人だ。

「いつでも率先して指示を出せるなんてすごいわね」
「私はこれでも跡継ぎ息子という立場だからな。これくらいはできないと族長になどなれないさ」

 それならここまで積極的なのも納得だ。頼りにしてるわよ、未来の族長さん。




「さて調査を始めるぞ。二手に別れようか」

 中に入ったところ。エントランスの正面にはこれは二階に続く階段がある。

「ねえ、どう振り分けるの?」

 それは大事ね。特にエミリーをどう扱うかが。
 テオドールと組ませると確実にケンカするでしょう。ミレーヌもあの時の件を引きずっているから、少なくとも仲よくしようとする気はないはず。
 アレックスと一緒にするのは確定として、どうするか。

「テオドールとミレーヌ、二階を。残りの四人で一階を調べましょう。ミレーヌにはゴーレム呼び出しの呪符を渡すわ」
「オッケー!」

 ティファレトさんと私でエミリーを守る。そうしないと彼女は助からない。

「エミリー、いいかしら?」
「……それでいい」

 嫌そうな返事ね。嫌悪感か無気力感か、どちらが原因かは知らないけど、これがあなたにとって一番良い状況なのよ。

「……それじゃあ、よろしくッス。ミレーヌさんよ」

 ぶっきらぼうに彼女を連れて二階へ向かっていく。

「わあ、ちょっと……」

 ミレーヌは困りながらついて行く。テオドール相手には苦手意識が強いのかしら。まあ仕方がない。元軍人の知識があるとはいえ、私ですら閉口したくなることを時々言うのだから。
 まあフォローはできている。ゴーレム呼び出しの呪符はキチンと渡した。万が一魔物がいても、手数を増やせるように。
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