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バーボチカの冒険 激震のフロンティア

決意を胸に灯して
「待って下さい、二人共!!」

 その不毛な戦に、子供が口を挟んだ。

「メドゥーサさんは自分の島を守りたいから、私を殺そうとするのですよね!?」
「ああ、そうだ」
「だったら私が彼らと戦います!!」

 彼女の提案、それはただ殺されるのではない。死を覚悟して戦いに臨むことであった。

「私がこの島を守ります! それが出来れば満足していただけますか!?」
「…………」

 争いを止める二人。スカジの暴走も若干だが収まりつつあった。

「……できるものならやってみるがよい。だがこやつの手伝いがあっても、奴らはお前のような小娘に遅れを取るほど甘い敵ではないぞ」

 杖を降ろしたその姿は、提案を受け入れるという意思の表れだった。

「……まさか、お前が殺そうとした子供の提案を聞くとは」
「お前が旅に連れ出すような子供だ。ただの子供ではないのだろう。私に口答えする生意気な小娘だが、そういう子供にコインを賭けるのもたまには面白い」

 まるで生意気さが気に入ったとでも言いたげな主張。だが動機が偉そうでも提案を認めてくれたことの方がバーボチカは嬉しかった。

「行くがよい。お前の英雄としての器、戦士としての才を戦場で示してみろ」
「……はい」

 没収された武器の方へ向かうバーボチカ。弓とファフナーの牙を返してもらい、戦いに行く準備を済ませた。

「行きましょう。妖精王様」
「あ、ああ……」

 珍しく妖精王が彼女を追う立場になり、二人は洞窟を出た。





 二人が去った洞窟の玉座に一人、この島の女王が佇む。

「……おい、お前達」

 水面に呼びかけ、ギルマンを呼び出した。

「……いかがなさいましたカ?」
「あの小娘が戦い始めたら奴らの船を破壊しろ。逃げ道と補給を断て」

 呼びかけるとギルマン達は一斉に感動の唸り声をあげた。

「……どうした?」
「表向きは、非情な言葉をかけても、心では彼らを大事に思われているのですネ」
「なに?」

 思いもよらぬ、称讃の言葉。

「それでこそ、我らの王ダ」
「確執があったとしても同胞、麗しい同胞愛でス」
「これからも我らはあなた様により一層強く忠誠を捧げまス」

 口々に盲目的な崇拝の言葉をかける彼ら。

「……買い被りだ。さっさといけ」
「はは、承知しましタ」

 一斉に地下水路へ向かっていくギルマン達。岸につながっている水路もあるようだ。

「……必ず生きて帰ってこい。神の子バーボチカよ」
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