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バーボチカの冒険 激震のフロンティア
妖精王降臨
「者共、安心するがよい。わらわが来たからにはもう大丈夫じゃ。大地を汚す賊はわらわがこの手で討つ」
前へ出る麗しい女性。侵略者の男とほぼ同等の高い背丈に高貴な紫のドレス。そしてそれよりも強く赤がかかった髪。彼女こそが妖精王。村人達の祈りに応えて、転移魔法で現れたのだ。
静けさが辺りに広がり、森の中の小さな村は、妖精王の出現によって生まれた奇跡に包まれました。その美しい姿勢と確かな自信は、村人たちに勇気を与えました。
「あ、あの……それなのですが……」
「なんじゃ?」
妖精王は村人の声に耳を傾けた。
「実はもう、賊は倒されたのです」
「ほう?」
報告に驚く妖精王。戦士達が全滅したことも何もかも聞いたのに、自分の手を借りずに賊を始末したとは。とてもではないが信じられない話であった。
「賊を倒したのは誰じゃ?」
妖精王は疑念を隠さずに尋ねました。
「この娘です」
バーボチカを前に出す村長。それを見て一気に村人達が声を上げる。
「うそ!? バーボチカが!?」
「いくら腕のいい狩人だとしても相手は大人の男全員が敵わなかったのよ!?」
「嘘だ! 父さんを殺したあいつをお前なんかが倒せるもんか!!」
誰一人信じない村人達。彼女は救世主だというのに。
「やめんか!」
それを一喝したのは妖精王であった。
「この者はわらわ抜きでこの窮地を乗り切った英雄じゃ。邪険に扱うのはわらわが許さん!!」
その一言で黙る村人達。妖精王はそのままバーボチカに迫り、抱きかかえる。
「わー……」
顔が向かい合う高さまで持ち上げられ、バーボチカは驚きのあまり体が全く動かない。
「そなたがあの子の娘か」
どうやら彼女はバーボチカの母のことを知っているようだ。
「やっと見つけたぞ、神の子を」
「…………?」
意味深な言葉。バーボチカはもちろん、周りの大人達も何もわからなかった。
「者共、聞くがよい。この戦いは始まりにすぎん。これから一か月後、大陸から侵略者が来る。それも艦隊で。上陸を許せば今度こそ誰一人助からん」
「えええ!?」
村人たちは声を揃えて驚く。
「だからこそ」
バーボチカを皆の方へ向け、話す妖精王。
「わらわはこの英雄と共に、奴らの艦隊を破壊するための旅へ出る。この島を守るために」
旅立ちを強制されたバーボチカ。それでも彼女は、拒絶するようなそぶりを一切見せなかった。
「バーボチカ、過酷な旅じゃが大丈夫か?」
妖精王は彼女に問いかけました。
「……はい、行きます。行かなかったら皆死んでしまうのですよね?」
バーボチカは決然とした表情で答える
「……そうじゃ」
「なら、私がみんなを守ります」
小さな体で力強く宣言する彼女に、妖精王は微笑んだ。
「……小さいのに立派な子じゃな。わらわの名はスカジ。この島を守る妖精王じゃ。バーボチカよ、共に行こう」
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